眉下切開と眼瞼下垂手術の違いは?メリット・デメリットも解説

「目の周りのたるみが気になる」
「まぶたが重い」
そのようなお悩みを解決できるのが「眉下切開(まゆしたせっかい)」と「眼瞼下垂手術(がんけんかすいしゅじゅつ)」という方法です。
どちらもまぶたのたるみや重さを改善するための施術法です。ただし、目的や効果、適応する症状が異なるため、医師の診断に従って適切に選択することが大切です。
本記事では、それぞれの違いや選び方、メリット・デメリット、費用などをわかりやすく解説します。
監修医師
オキュロフェイシャルクリニック大阪
院長 藤田 恭史
大学病院などで一般眼科から眼形成外科まで幅広く診療経験を積み、さまざまな手術に携わってまいりました。
眼瞼下垂、甲状腺眼症、涙道の疾患といった目のまわりのトラブルに対しては、見た目の自然さに配慮するのはもちろん、視機能や眼球表面への影響にも十分に注意を払いながら治療を行っています。
目次
眉下切開と眼瞼下垂手術の違い
眉下切開と眼瞼下垂手術は、どちらもまぶたのたるみや重さを改善する手術法です。両者の大きな違いは、対象となる部位といえます。
眉下切開の対象は、眉と目の間の皮膚や脂肪です。
まぶたに皮膚が多すぎるせいで症状が見られる場合に、上まぶたの余分な皮膚を切開、除去してたるみや重さを解消します。術後はすっきりとした目元になるでしょう。
一方、眼瞼下垂手術で対象とするのは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋・がんけんきょきん)です。
この筋肉の働きが弱いために症状が起こっている場合に、筋肉の機能を修復・強化して目を開けやすくします。術後は、見た目の改善だけでなく、視界の確保や頭痛・肩こりの軽減といった機能面の改善も期待できるでしょう。
眼瞼下垂手術とは?

眼瞼下垂手術とは、上まぶたが下がって目が開けにくくなる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」の症状を改善するための手術です。
眼瞼下垂は、加齢の他、コンタクトレンズの長期使用、先天的な要因などで、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の働きが弱くなるために起こります。
発症すると、無意識に額の筋肉を使って目を開けようとするため、頭痛や肩こりの原因になることもあり、視界や見た目だけの問題に止まらない可能性もあります。
手術では、弱った筋肉を縮めるなどして、まぶたを開く力を改善、強化します。
見た目の若返り効果も期待できますが、本質的には医療目的の機能改善手術です。そのため保険適用となるケースもあります。
眉下切開とは?
眉下切開とは、眉のすぐ下の皮膚を切開し、余分な皮膚や脂肪を取り除いて、目の上のたるみを改善する方法です。
切開するのは眉の下であるため、術後の傷跡が比較的目立ちにくいのも特徴といえます。まぶたの構造には大きく手を加えないため、自然な印象に仕上がるでしょう。
POINT
まぶたを持ち上げる筋肉の機能的な問題である眼瞼下垂の症状がある場合には向きません。
目は開くものの、皮膚が多すぎて余剰分が目にかぶさっている方にのみ適した方法といえます。
眉下切開と眼瞼下垂手術の特徴の違い
眉下切開と眼瞼下垂手術は、どちらもまぶたのたるみを改善する手術です。しかし、対象となるケースや効果に違いがあります。以下ではその違いをまとめました。
眉下切開 | 眼瞼下垂手術 | |
---|---|---|
適するケース | 原因が皮膚の余剰やたるみである場合 | 原因が筋肉(眼瞼挙筋)の衰えである場合 |
施術内容 | 眉の下を切開し皮膚や脂肪を切除・除去 | まぶたを持ち上げる筋肉を調整 |
切開する位置と傷跡の目立ちやすさ | 眉毛直下の皮膚を切開するため、傷跡は目立ちにくい | 二重まぶたのラインに沿って切開するため、傷跡は比較的目立ちやすい |
期待できる効果 |
|
|
保険適用 | 適用外 | 症状によっては適用あり |
それぞれの特徴を理解し、自分の症状や目的に合った方法を選ぶことが大切です。
眼瞼下垂手術と眉下切開を選ぶ前に知っておきたいポイント
眼瞼下垂手術と眉下切開の違いを知ったところで「ご自身のケースではどちらが適するのか」気になる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、手術方法を選択する前に知っておきたいポイントについて解説します。
どんな症状や目的にどちらの手術が向いている?
症状・目的 | 向いている手術 |
---|---|
目の筋肉(眼瞼挙筋)の働きの低下が見られ、視界が狭い | 眼瞼下垂手術 |
まぶたが重く、頭痛や肩こりがある | 眼瞼下垂手術 |
加齢によって皮膚や脂肪の余剰分が多すぎるために、まぶたがたるんでいる | 眉下切開 |
見た目の若返りを図りたい(美容目的) | 眉下切開 |
視機能の改善が目的で保険適用を希望する | 眼瞼下垂手術 |
判断は専門医にお任せ!
眉下切開と眼瞼下垂手術のどちらが向くかは、なかなか自分で判断できるものではありません。
どちらの施術が適するかを判断するには、その原因を正しく見極める必要があり、その判断は専門医でなければ難しいからです。
さらに、皮膚と筋肉、両方に問題があるケースもあり、単一の手術では十分な効果が得られない可能性もあります。
専門医であれば、まぶたの状態や症状、患者の希望を総合的に判断し、最適な方法を提案してくれます。
不安な点や仕上がりのイメージについても相談しながら進められるので、納得して治療を受けられるでしょう。まずは信頼できるクリニックでカウンセリングを受けることをおすすめします。
眉下切開と眼瞼下垂手術のメリット・デメリット
眉下切開と眼瞼下垂手術には、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
眉下切開 |
・自然な仕上がりが期待できる ・傷が目立ちにくい ・ダウンタイムが比較的短く、日常生活への影響が少ない |
・保険適用外で費用が高め ・皮膚以外のたるみには効果が薄い |
眼瞼下垂手術 |
・目の開きが改善され視界が広がる ・頭痛や肩こりの軽減するケースがある ・保険適用になる場合がある |
・術後に見た目の印象が変わる可能性がある ・ダウンタイムや腫れが長引くケースがある ・技術によって仕上がりに差が出やすい |
眉下切開と眼瞼下垂手術の同時手術はできる?

眉下切開と眼瞼下垂手術は、症状や目的によっては同時手術もできます。
具体的には、上まぶたに皮膚のたるみ(眉下切開が適応する症状)があるだけでなく、まぶたを持ち上げる筋肉の衰え(眼瞼下垂手術が適応する症状)も見られる場合は、同時手術が有効です。
ただし、腫れがひどかったり、ダウンタイムが長引いたりするなどの可能性もあるため、医師によく相談したうえで判断しましょう。
また、眼瞼下垂の手術を受けたものの、余剰皮膚が多く、まぶたの被りが気になる場合に、追加で眉下切開の手術を行うケースもあります。
眉下切開と眼瞼下垂手術の費用

眉下切開と眼瞼下垂手術の費用は、施術内容やクリニックによって差がありますが、一般的な目安は次の通りです。
手術方法 | 費用の目安 |
---|---|
眉下切開 | 約20万~50万円(自由診療) |
眼瞼下垂手術 |
・1割負担の場合:約1万円(片目) ・3割負担の場合:約2万~5万円(片目) ・自由診療の場合:約30万~60万円 |
上記はあくまで目安であり、実際にかかる値段はクリニックによって異なります。
検査代や麻酔費、術前術後の通院費用などが別途必要になるところもあるため、手術を希望する場合は事前に見積もりをしっかり確認しましょう。
よくある質問
ここでは眉下切開と眼瞼下垂手術について、よくある質問とその答えを紹介します。
Q
眉下切開なら傷跡は目立ちませんか?
個人差はありますが、眉毛の下のラインに沿って切開するため、時間が経てば目立ちにくくなるケースが多いといえます。
Q
眉下切開後、眉の位置は変わりませんか?
基本的に自然な仕上がりが期待できますが、眉の位置が少し下がる可能性はあります。というのも、眉下切開は目と眉の間の余分な皮膚を取り除く手術だからです。
手術前よりも皮膚が少なくなる分、眉が下に、まぶたは上に引っ張られます。そのため、眉と目の間隔が狭くなる可能性はあるでしょう。
Q
どちらの手術が長持ちしますか?
個人差があるため、どちらが長持ちするかは一概にはいえません。
眉下切開の場合、基本的に一度手術をすれば半永久的にもつといわれていますが、除去する部分や施術法によっては数ヵ月から数年程度しか効果がないケースもあります。
これはクリニックによって「眉下切開」の定義が異なるためです。
一方、眼瞼下垂手術も、ご本人の筋力の強度や手術方法によって持続期間は異なります。
後悔しないためにも手術前に医師によく相談しましょう。
Q
ダウンタイムはどれくらいですか?
眉下切開も眼瞼下垂手術も、痛みや腫れ、内出血が起こるダウンタイムのピークは1〜2週間程度です。
個人差はありますが、1〜3ヶ月程度で赤みも引き、自然な見た目に近づくでしょう。
まとめ
眉下切開と眼瞼下垂手術は、どちらもまぶたのたるみを改善する施術です。
しかし、どちらを選ぶのがよいかは目的や原因によって異なります。場合によってはどちらか一方だけでは満足できる結果を得られず、両方の手術を受けた方がよいこともあるでしょう。
術後に後悔しないためにも、専門医によく相談をし、納得のうえ選択することが大切です。
監修医師

オキュロフェイシャルクリニック大阪
院長 藤田 恭史
大学病院などで一般眼科から眼形成外科まで幅広く診療を行い、多くの手術に携わってまいりました。
眼瞼下垂や甲状腺眼症、涙道の疾患など、目のまわりに生じる症状に対し、見た目の自然さを大切にしながら、視機能や眼球の健康にも十分配慮した治療を行っています。
当院では、流行に左右されず、医学的な裏付けに基づいた治療にこだわることで、機能面・整容面の両方にご満足いただける診療をめざしています。